• ミロコマチコ「ミロコあたり」

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 テンテンとスイカ頭を迎えるときに、ソトとボウと仲良くできるかどうかが一番の心配事だった。聞けば、一生仲良くできなくて、部屋を隔離し続けなくてはいけなかったり、新入りが来たことによって、もともと仲が良かった猫たちも関係が悪くなるケースもあるとか。もしも、ソトとボウが幸せじゃなくなったら後悔する。そう思って、猫たちが仲良くできる方法を必死に調べた。
 対処方としては、ついつい新しい猫たちをかわいがりたくなるが、我慢してなるべく先住猫をかわいがるということらしい。ご飯や抱っこなどもソトボウを優先して、新入りは後回し。すると新入りがいても、今まで通りミロコはかまってくれる=新入りには害がない、と認識して仲良くなれるというものらしい。早速実践した。テンスイをかまいたいところをグググッと堪えて、ソトボウをかわいがって、テンスイは常に二の次、ということを繰り返した。
 それが功を奏したのか、全員オスにも関わらず猫たちは見事に仲良くなった。まだまだ4匹とも若いので、遊びの延長でケンカしていることもよくあるけど、みんなで団子になって寝ている姿を見ると、メロメロになってしまう。
 それは良かったのだが、テンスイの性格が変わってしまった。うちに来たばかりの頃はわたしを見ると膝の上に乗ってきたり、抱っこをねだったりしてきていたのに、今ではほとんどない。無理に抱っこしようものなら、首を蹴って逃げていくこともある。きっと甘えても、かまってくれないと認識されたのだ。とても寂しい。「そうやないんよ〜」と、言いたくなる。先代の猫、てつぞうは人間と距離を置くタイプで、そういう性格でも十分かわいかったはずが、甘えん坊のソトボウと暮らしてきたことで、猫たちと触れ合う喜びを知ってしまった。
 でも、だからなのか、テンスイは猫が大好きだ。常にソトボウに突進してスリスリと甘えたり、遊ぼうと寝込みを襲ったりしている。人間よりも猫に興味があって、いつもわたしのことは遠巻きに見ている。
 それでも、性格を戻すには今からでも遅くないかも、と思ってテンスイを膝に乗せて気持ち良くなるまで撫でてみたりしている。ま、このままでももちろん、かわいいことには変わりないのだけど。4匹の同居は大成功だったけど、ちょっとさみしい気持ちが拭えないのであった。





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