
ピカソ、モネ、ロダン、プルースト、ヴェルディ......
主に19~20世紀に活躍した画家、彫刻家、作家、音楽家たち。
彼らが生まれた国や国籍、とりまく環境が
味覚や嗜好をつくり上げ、その結果、彼らは芸術と同じくらい
食べることにも、独自のセンスとこだわりを持っていた。
なかでも西洋人の彼らにとって、食後やお茶の時間のスイーツには
料理とはまた異なる、特別な思いがあったにちがいない。
あの芸術家はどんなスイーツの前で、極上の笑みを浮かべたのだろうか。

ピカソはスペインの南、アンダルシア地方のマラガで生まれた。生きている間に成功を収め、巨万の富を得、100年に一度の天才と形容されている。
そんなピカソも、よくある話ではあるが、あまり裕福とはいえない家庭に生まれる。父が自らも絵描き(本職は美術学校の教師)であったため、愛する息子に絵を描くことを教えた。ピカソにとって父との対話が、絵そのものだったのだ。「純粋に絵だけ描いていればよい」という父の愛情なくしては、天才ピカソは誕生していないかもしれない。
ピカソの芸術活動以外の部分、暮らしや食に対する意識は、青年期に培われたものと思われる。16歳のときに猩紅熱にかかり、静養のため友人の郷里の山奥で過ごしたというピカソは、複雑な人間関係のない田舎の空気、質素ながらも滋養のある食生活、そして適度な運動で、徐々に体調を回復させていった。
すっかり健康になると、村の人々と一緒に畑に出て働き、家畜の世話をした。村の鍛冶屋や靴屋などの職人連中と語らっては、その技術を見せてもらったりもした。オリーヴオイルづくりにおいては、実を摘むところから、オイルを搾るまでの全行程を体験したという。
スペインでは、オリーヴオイルは最もポピュラーなオイルであり、香り高い調味料でもある。ニンニクをこすりつけたパンを、バター代わりにこれに浸しながら食べる。最近では日本でも洒落たレストランで時々供されることがあるが、スペインでは日常的な食べ方だ。
ピカソがフランスに渡ってからもつくらせたというお気に入りのスイーツが、このオリーヴオイルを練り込んだ揚げ菓子。伸ばして切った生地を、贅沢にもオリーヴオイルでカラッと黄金色に揚げる。そして揚げたてに、蜂蜜とアニスシードをかけて、熱々をほうばる。アニスシードが南のスイーツらしい香りを口中いっぱいに運んでくれるのだ。
幼い頃、大好きな母親がつくってくれたものだというから、彼の愛着もひとしおだろう。
ピカソは語る。
「私の知っていることは、すべてオルタ・デ・エブロの村(ピカソが静養をした村名)で覚えたことだ」と。
金持ちになっても贅沢を好まず、スペインの田舎の村で体験したプリミティヴな暮らしを愛した。ピカソは、自分のルーツを見失わず、素朴で人間らしい生き方を大切にした人なのだと思えてならない。
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材 料 (16個分)
薄力粉...100g
砂糖...大さじ1
塩...2つまみ
卵...1個
オリーヴオイル...大さじ1
レモン汁...小さじ1
揚げ油... 適量
(オリーヴオイルとサラダオイルを各半量。
もちろん全部オリーヴオイルでも!)
蜂蜜... 適量
アニスシード... 少々
つくり方
1. 卵は小さな器に割り、よくといておく。
2. ボウルに薄力粉、砂糖、塩を合わせたものを、ふるいながら加える。
3. 2の真ん中にくぼみをつくり、そのくぼみに1を注ぎ、木べらでよく混ぜる。
4. 3にオリーヴオイルとレモン汁を加え、なめらかになるまで手でこねる。
5. 4をラップで包み、冷蔵庫で1時間ねかす。
6. 打ち粉(分量外/薄力粉でよい)をふった台の上に5をのせ、厚さ1.5cmの正方形に手でのばし、
16等分の正方形に切る。
7. 小鍋に高さ1~2cmまで油を入れ、火にかけて170℃まで熱す。
8. 6を1個ずつ入れて、キツネ色になるまでゆっくり片面ずつ揚げる。
9. 熱いうちに刻んだアニスシードを加えた蜂蜜をかける。
*オリーヴオイルはできればエクストラヴァージン(一番搾り)を使うこと。
*生地に刻んだアニスシードを小さじ1加えてもよい。
*アニスシードがなければフェンネルシードでもよい。
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